小話 「グレゴリーハウスの大掃除」 後編

一応ギャグ、なのかな・・・・・という感じで
今回ちょっと雲行きが怪しくなってきますが・・・
(当初の予定通りなのでご心配?なく)
今回でこの話はおしまいです。
が、例によって最後なので長いです・・・・
中編はこちらから



クラウスたちが棺桶に閉じ込められてからまだ約10分
くらいしか経っていなかったが、
クラウスの体感時間ではもう2時間はゆうに過ぎたころ・・


「あー・・・・もうここで干からびて死ぬのを待つばかり、か。」
「そうそう。ジタバタしたって無駄無駄。
 これから長いんだから、体力を温存しとかなきゃね。」
「なんでジェームスはそんなに楽観的になれるの?
 出られる保障は0なのに・・・」
「まあね。最悪、ここでクラウスが白骨化してくのを観察するのも
 面白いかと思って。」
「全然面白くないよ!っていうか、そのころにはジェームスも
 骨になってるよ!!」
「そう?ボクは大丈夫だよ。こんなこともあろうかと、
 非常食いっぱい持ってきたし。」

そう言って、ジェームスは持ってきた大量のお菓子を
見せびらかす。

「どうせ、分けてくれる気はないんでしょ?」
「うん。でも、クラウスがババ抜きでボクに勝てたら、
 分けてあげてもいいよ。」
「本当?・・・・・・・じゃあ、やりますか!」
「はい。さっきクラウスがジャンケンで負けたから、
 先でいいよ。」
「余裕だね・・・・」

そんなこんなで、あっという間に二人の手札は減っていき・・

「うわー、やっちゃったよ・・・・」
「やっぱり、クラウスがボクにババ抜きで勝てるわけないよね!」
「なんでさ・・・」
「だってクラウスってすぐ顔にでるんだもん。
 超わかりやすいよ。」
「マジか・・・・はあ・・・
 勝てる見込みはなさそうだし、これも含めて、
 永遠の拷問ってところか・・・・」
「いや、クラウスが白骨化するまでの拷問だよ♪」
「う・・・・シャレになってないからやめてくれ・・・
 ああ、ここで俺の人生も終わりか・・・」
「大丈夫。ここのホテルに来た時点で、
 すでに人生終わったようなもんだよ。」
「なんのフォローにもなってないよ・・・・・」

と、そのとき、二人の耳に、ゴボゴボと、水中を泳ぐような
音が聞こえた。

「もしかして、TVフィッシュ?
 おーい、誰でもいいから、助けを呼んできてくれー!」

しかし、突然の物音に驚いたのか、
TVフィッシュはすぐに壁のなかに逃げ込んでしまった。


「もうダメか・・・
 よし、こうなったら当初の予定通り、寝ます!
 おやすみっ!」
「えー?つまんないの。
 ・・・・・・・・・もう寝てる。」


そのころ、クラウスの部屋では・・・・・

「さすがに遅いね・・・・・・」
「そうだニャ・・・・・・」
「探しに行ってみる?」
「それがよさそうだニャ・・・・・・
 よし、僕はいろんな人に聞いて回るから、
 マリアはとりあえず1階と2階の捜索を頼むニャ。」
「うん!了解。」
「くれぐれも、気をつけてニャ。ミイラとりがミイラになったら大変ニャ。」
「わかった。では、行って来ます!」


その後、マリアは素早く1階の空き部屋、談話室などの
ありとあらゆるところを捜索したが、
クラウスのいる痕跡を発見するには至らず、
2階に向かった。


「2階が怪しい気がする・・・・・・・・・」

周りを気にしつつ、歩を進めていたマリアだったが、
廊下の奥に、回診中のキャサリンの姿を確認してしまった。

「やばい・・・・今のうちに逃げなきゃ」

と、ダッシュしたのがよくなかったのか、
気づいたキャサリンが猛スピードで追いかけてくる。

「うわー!もう絶体絶命だー!!
 どうしようどうしよう・・・・・」

あわてて、近くの空き部屋のドアノブに手をかける。
幸い、鍵は開いていた。
急いで入り、鍵をかける。

「危なかった・・・・・・・・・・・・
 ん?この部屋は・・・・
 初めて入った・・。」

偶然、というか物語の尺的に必然というべきか、
マリアは3Fへの隠し階段があるスィートルームにたどり着いた。


そのころ、クラウスとジェームスはと言うと・・・・


気がつくと、クラウスは真っ暗な闇の中に一人、
取り残されていた。

「え・・・・・?ジェームスは・・・・・・・・・
 どこ行ったの・・・?」

その独り言も、あっという間に虚空に飲み込まれていく。

「これは・・・・・・夢・・・・・?」


そう思ったそのとき、どこからともなく、
聞き覚えのある声が頭の中に直接響いてきた。


「あなたって、本当に、何をやらせてもダメね・・・・」
「使えない」
「お前なんて人間のクズだ」
「早く消えてなくなればいいのに」
「そんな甘っちょろいことばっかり言ってるから、
 いつまでも進歩できないんだよ!」
「一人じゃなんにもできないくせに・・・・」


なんだ・・・・?これ・・・・・
嫌だ・・・・・聞きたくない・・・・・・・
抗議の声を上げようとするが、口を開けても、
言葉が出てこない。ただ、金魚のように口をパクパクさせる
しかなかった。
そのうち、どんどん声のボリュームは大きくなってくる。


「お前なんて粗大ごみ以下だ」
「早く視界から消えてくれ」
「なんで今まで生きてこられたの」
「いつも自分のことばっかり・・・」
「死ねばいいのに」

ああ・・・・もうやめてくれ・・・・・・・
聞きたくない・・・・・・・・
それ以上は・・・・・・・もう・・・・・・・


最後の力を振り絞って叫んだ。

そうしたら、目が覚めた。
ただ、勢いよく起き上がったので
フタに頭をぶつけてしまったが。


「痛ったーい!!!!」
「いい目覚めだったみたいだね、クラウス。」
「どこが!?最悪だったよ!!!!」

「だって、クラウス、さっき絶叫してたよ。

『みんな消えてなくなれ』

って。そのあと、いきなり笑い出しちゃって、
すごく楽しそうで、よっぽど面白い夢だったんだね。」

「嘘だ・・・・・そんなわけない・・・」

しかし、ジェームスの言葉に呼応して、
さっきぶつけた傷が、今度は内側から殴られたように
激しく痛み出した。

「痛い・・・・・・苦しい・・・・」
「遺体・・・?大丈夫?クラウス。
 もう完全に生きる望みをなくしちゃった?」
「ちがう・・・・・・・頭が・・痛・・・・・・」
「さっきそうとう派手にぶつけたからね~。」
「そういう痛みじゃなくて、なんていうか、
 内側から、こう、ぐしゃっと、痛い・・・・・
 頭が割れそう・・・・・・・」
「さっきので内出血しちゃった?
 キャサリン呼んでこなきゃね。」
「いや・・・・・今呼んだら余計悪化する・・・・」

むしろこの場合は呼んだほうがよかったのだろうが、
もうクラウスにはそんな判断力も残っていなかった。

「誰か・・・・・・助けて・・・・」
「でも、たぶん誰も来ないと思うよ」



そのころ、2Fのマリアは・・・・・・

クラウスたちのようにベッドで飛び跳ねてはしゃいでいた。

「あーあ、やっぱり一人じゃつまんない・・・・」

あたりを見渡すと、ふと、大きな本棚が目に留まった。

「へー・・・色んな本があるんだね・・・・・・
 ん?このシリーズ、背表紙の絵がつながってない。
 こういうのって、なんかイラつくんだよね・・・」

背表紙の絵がそろうように本を整理する。
どこかで
カチャッ、と音がして・・・・

「んん?何だコレ・・・・・・」

チャラララララララン♪
と効果音らしきものが鳴り、本棚が動いて、
上へ続く階段が出現した。

「うわ・・・・・確かバイ○ハザードにも
 こんなんあったような・・・・・
 まあ、カプコンだし・・・・
 とりあえず、上ってみますか。」

ずんずん上っていくマリアだったが・・・・・
途中の、床が腐っているところをうっかり踏みぬいてしまう。

「うぎゃー!やっちゃった・・・・・・!?」

足をなにかにつかまれたような気がして、下を見ると・・・・
床下にもたくさんコレクションが収納されていたようで、
彼女の足を、ちょうどミイラがつかんでいるような格好になっていた。

「くぁwせdfrtgyふじこ!?」

人間、本当に驚いたときはキャーなんてかわいい悲鳴は出ないと思う。
とても人間のものとは思えないマリアの悲鳴は、
クラウスたちのいる部屋にも届いた。
その声でなぜかクラウスはやっと、頭が割れるような痛みから解放された。


「何?今の・・・・・・・・・幻聴?
 お迎えが来たのか・・?でもそれにしちゃ
 野太い声だったな・・・・・・・・
 死神って関西弁じゃなかったっけ?」

マリアは、恐怖のあまり階段をものすごい速度で駆け上がり、
とっさにドアを開け、中に倒れこむ。

「!!!誰か来た!
 おーい!助けてくれー!!!」

二人でドンドンとフタをたたく。

マリアは、その音を聞いて恐怖が臨界点を突破し、

逆切れした。


「おいてめえら・・・・・・・
 いい加減にしろよ・・・・?
 死人のくせに生きてるヤツに
 手だしてんじゃねーよ。
 二度と起き上がれないように、
 ぐっしゃぐっしゃのどろどろにして
 肉団子にしてやる・・・・・・・・・・」
 

「ひいいいいいいいいいい・・」


マリアは音がした方向をキッと睨み、
すごい勢いで棺桶の方へ駆け寄り、重いフタを軽々と持ち上げた。


「うわああああああああああああああ
 許してください・・・・・・・・・・・・・・・」

そこには、抱き合ってガタガタと震えている、
クラウスとジェームスの姿があった。

「・・・・・・・・・・・クラウス・・・・・?
 なんでこんなところにいるの?」
「へ・・・・?マリア・・・・・・・・・?
 さっきなんかすごい声がしたんだけど、
 怪物に襲われてなかった?大丈夫?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 え?なんのことだか、全然わかんないや。」
「それならよかった。幻聴だったみたいだ・・・」

緊張が解けたクラウスは、思わずマリアに抱きついた。

「ちょっと・・・・・・・・・
 ホコリっぽいなあ・・・・・・もう・・」
「熱いねえ・・・・・お二人さん。
 そうだ!ボクが今からここに二人を閉じ込めてあげるよ。
 そしたらあんなことやこんなこともできるよ。
 ニャハハハハハハ・・・・あ痛。」

ジェームスの頭に、二人のゲンコツがクリーンヒットする。

「「それだけは絶対にやめて。」」



Fin.



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