SS 「worldend」-Ⅱ

前回の続きです。
もう展開は見えてしまっている気がしますが、
このまますすめてみます。



・・・・・・・・・・そうか、やっとわかった。思い出せた。
この痛みも、どこまでも落ちていく感覚もどこかで体験した
ような気はしていたが、そういうことだったか・・・。

急にぼんやりしていた意識がはっきりしてくる。

見ると、誰かがフタをバンバンと必死にたたいている。


「クラウス!生きてるなら返事して!!クラウス!」


なんと答えようか迷ったので、とりあえず合図に
まばたきをしてみる。

すると、フタを開けてのぞきこんできたのは、マリアだった。


「死んでるかと思ったよ・・・・でも生きてて本当によかった。
 ・・・・一緒に戻ろ?朝ごはん食べなきゃ。」
「・・・・・・いや、悪いけどその必要はない。」
「え・・・・・・どういうこと?」
「やっと思い出せたんだ。大事なこと。」
「よかったじゃん。・・・・・・・で、なんで??」


「僕はここにいるべき存在じゃなかった。
 かと行って、帰る場所もない。
 だから、今からチェックアウトしなきゃいけないんだ。」


「何を言ってるのか、全然わかんないや・・・・」

「つまり、ここでお別れってこと。」






そう言って、棺桶から起き上がり、外に出て、きょとんとしている
マリアの手を握る。




「今までありがとう。最後の時間を君と一緒にすごせて
 本当によかった。そして、本当にごめん。
 もう君は僕がいなくても、一人で帰れるハズだ。
 今まで長い間引き止めてて、本当にごめん。
 元の世界に帰って、新しい一歩を踏み出してほしい。
 これが最後のわがままだから、わかってほしい。
 あと、ネコゾンビによろしく。」

「何・・・・・それ・・・・・・どういうこと・・・」


「ごめん。もう行かなきゃ。
 
 君に出会えて本当によかった。
 
 ありがとう。
 ごめんなさい。
 
 そして、さよなら・・・・」



そう言い終わると、クラウスの手がすうっと冷たくなる。
顔を見ると、さっきまでの微笑を浮かべているのは
変わらなかったが、どこかニセモノっぽい感じがする。

まるで、ロウ人形になってしまったみたいに。


そう思っていると、いきなり、彼の体が、
青い炎を上げて燃え上がった。

あっという間に全身炎につつまれてゆき、
どろどろに溶けながら、苦悶の声を上げている
彼の姿は、なんとなく、現実のものではないような、
そんな気がした。
青い炎は、容赦なく彼の体をどろどろに溶かしてゆく。
勢いを増して燃え上がる青い炎に、私は見とれていた。

やがてそれは彼の体を完全に溶かし、
ゆっくりと小さくなっていった。

あとには、なんだかよくわからない、
白い固まりが残った。


今のは何だったんだろう・・・・・・・・・クラウスは?
本当に溶けてなくなってしまったのか?

私は何がなんだかわからず、
ぼうぜんと立ち尽くすしかなかった。


「ヒッヒッヒ・・・・・・
 やっと彼もご自分の本当の姿に気づけたようで
 ございますな・・・・・いやあ珍しいものを見させてもらいました。
 魂まで焼き尽くす、あの美しい青い炎は、
 めったに見る機会はないですからな・・・・・・・・
 ヒッヒッヒッヒ・・・・・・・」



いつのまにかグレゴリーが来て、何事かをつぶやいて
去っていったようだったが、全く気づかなかった。

さっきの夢のような光景は、本当にここであったことなのか?

夢なら、早くさめて欲しい。

そう願ったそのとき、後ろから声が聞こえた。



「一足遅かったようだニャ・・・・」

そして彼は、こう言った。

「マリア・・・・・残念ながら、これは夢でも幻でも
 なんでもないニャ。
 
 クラウスは、いなくなったんだニャ。

 まだ魂がどこかに残っているなら、
 このハーブで呼び戻すことも可能ニャ。
 でも、それもできないということは、
 もうクラウスの魂はどこにもないと考えるしかないニャ。」

「そんな・・・・・・・」

「彼は自分の本当の姿に気づいてしまったんだニャ。
 だから、この世界で自分の姿を保っていることが
 できなくなってしまったんだニャ。」

「本当の・・・・・姿・・・・・?」






「マリア、落ち着いて聞いてほしいニャ。



 クラウスはこのホテルに来る前、
 ビルの屋上から飛び降りて、死んだニャ。」












続く





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