SS 「worldend」-Ⅳ

前回の続きです。



そうだ・・・私は・・・・・


まず、最初に思い出したのは、病室のベッドのそばで、
泣きじゃくっている自分の姿だった。

ベッドに寝ていたのは・・・・・・・・・包帯でぐるぐる巻きになって、
色んな管をつながれている・・・・・・・ああ・・・・・・・・・・
彼だ。私が殺してしまった・・・・・・

あのとき、私が彼を呼びさえしなければ・・・・
あれは本当に事故だったのだろうか。
私が、自分の手で殺してしまったのだ。


私は、付き合う人すべてを不幸にする、疫病神。
友達も、けがをしたり、病気をしたり、家の人に不幸があったりして
離れていったし、

家族も、一緒に行った旅行で車が崖から落ちて、
私以外みんな死んでしまった。
それ以来、私はなるべく人と関わることをさけて、
一人暮らしを始めた。

しかし、なるべく人前に出ないように、目立たないように
生きてきたのに、どうしても付き合いたいと言ってくる男性が
後を絶たなかった。

自慢ではない。
きっと私にとりついた疫病神が彼らを招き寄せたのだ。
彼らは、決まって私のミステリアスで儚げ?な雰囲気に
魅力を感じたといい、交際を迫ってきた。
断り切れず、何人かとは付き合った。

しかし、例外なく彼らは不幸になった。

たとえば、将来有望な陸上部のエース。
彼は私と付き合いだしてから大けがをして、
選手生命を断たれた。

あと、大企業?の社長の息子。
もちろん彼の父の会社も倒産した。

そんなことが続くうち、いつしか私と付き合うと不幸になるという
噂が広まり、度胸試しにやってくる数名を除いては、
誰も私に寄り付かなくなった。

これでいい・・・・・・・・予定通りだ・・・・・と安心したころ、
彼が現れた。彼は今までに私のところにきた男性と明らかに違っていた。

私のすべてを理解して、受け止めてくれた。
「絶対に幸せにする」と約束してくれた。

やっと、やっと理解してくれる、私を救ってくれる人に出会えた、
と思った矢先だった。



あのとき、私は道路の向こう側を歩いている彼を見つけ、
呼びかけて、手を振った。
彼はこっち側に渡ろうと、手を振りながら走ってきた。

ちょうどそのとき、トラックが走ってきて、

ドン

と鈍い音を立てて、彼を跳ね飛ばした。

彼は血だまりの中で苦しそうにもがいていた。

急いで救急車を呼んだが、もう私の頭の中は、
彼を殺してしまったという罪悪感でいっぱいになっていた。


それから、彼は植物状態になり、半年間病院のベッドに
寝かされていた。
私は毎日、彼の病室に通った。



そして、彼が亡くなり、彼の家族から、
お葬式には来ないでほしい、と言われた。

無理もない。法的に罪に問うことはできないが、
私はれっきとした殺人者なのだから。


ふらふらと家に帰る途中、私はこのグレゴリーハウスへと
やってきてしまったのだった。


「思い出せた・・・・・」

「なら、道は見えるはずニャ。あとはまっすぐ走るだけニャ。
 もうこのホテルに長くいても、つらいだけニャ。」

「でも・・・・・帰っても、私の居場所はどこにもない。
 また、誰かを不幸にするだけ・・・・・・
 なら、私も、誰にも迷惑がかからないように、
 ひっそり死にたい。
 彼と、クラウスが待ってるから・・・・・・・」

「馬鹿なことはしちゃだめニャ。
 君にはまだやり直せる未来があるニャ。
 早くこのホテルのことも、クラウスのことも、
 忘れるニャ。」

「忘れるなんて、無理だよ・・・・・
 だって、さっきまで、ここにいて、手、握ってくれてたんだよ・・?
 あったかかったんだよ・・・・?
 それを忘れるなんて、できないよ・・・・・・・」

「なら、忘れるまでここにいるしかないニャ。
 あとは時間が解決してくれるニャ。」

「いやだ・・・・・・忘れたくない・・・・・・」

「でも、時は残酷ニャ。
 そのうち君も、彼のことを忘れて、自由になれる日が来るニャ。」


そう言って、ネコゾンビは音もたてずに去って行った。


あとには、私と、冷えて固まったロウの塊が残った。

私はそこに座って、かつて彼だったものの残骸をいつまでも見つめていた。









続く




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